都市夢ーとしむー
その2/転落
アユムはおぼろげな視界で、何とか照準を捉え、暗がりのジュリに再度突進した。
「返しなさいよ!」
「いやよ!」
バッグを掴んでもみ合ううち、二人は自然と屋上のフェンスを背にしていた。
そして視界がぼやけるアユムは、ここで一気に掴んだバッグをジュリの手から思いっきり引っこ抜いた…。
「キャー!!」
次の瞬間、アユムの絶叫が夕闇の屋上にこだました。
力任せにバッグを奪ったアユムは、その勢いで後ろ向きのまま大きく後ずさりして、なんとそのままフェンスを乗り越えて屋上から転落したのだ。
「アユムー…!!」
ジュリは慌ててフェンスの外に手を伸ばしたが、時すでに遅く、彼女の視界に飛び込んだのは、7階建てのビルから急降下するバッグを手にしたアユムの姿であった…。
...
”うそでしょ…”
ジュリは一瞬の出来事に頭が真っ白になった。
一体何が起こったのか、目の前のことは本当に現実なのか…。
わずか数秒の間に、幾つもの自問自答が脳裏を行き交っていた。
”ヤバい…。逃げなきゃ…”
結局、この判断に至るまでには、さほどの時間は要しなかった。
ジュリは夢中で屋上を後にした。
7階からエレベーターで1階へ降りたジュリは、ビルを出ると、恐々とアユムの転落した道路付近をビルの端からそっと目をやった。
”えっ!”
ジュリは、自らのその目に映った光景に思わず驚愕した。
それは、何事もなく人が行き交ういつもとどおりの”日常”だったのだ…。
”いない!アユム、いないじゃない!一体、どういうことなの…”
ビル越しから、飛び出しそうなくらい目を大きく見開いて現場を凝視していたジュリは、心の中で何度もそう叫んでいた…。
アユムはおぼろげな視界で、何とか照準を捉え、暗がりのジュリに再度突進した。
「返しなさいよ!」
「いやよ!」
バッグを掴んでもみ合ううち、二人は自然と屋上のフェンスを背にしていた。
そして視界がぼやけるアユムは、ここで一気に掴んだバッグをジュリの手から思いっきり引っこ抜いた…。
「キャー!!」
次の瞬間、アユムの絶叫が夕闇の屋上にこだました。
力任せにバッグを奪ったアユムは、その勢いで後ろ向きのまま大きく後ずさりして、なんとそのままフェンスを乗り越えて屋上から転落したのだ。
「アユムー…!!」
ジュリは慌ててフェンスの外に手を伸ばしたが、時すでに遅く、彼女の視界に飛び込んだのは、7階建てのビルから急降下するバッグを手にしたアユムの姿であった…。
...
”うそでしょ…”
ジュリは一瞬の出来事に頭が真っ白になった。
一体何が起こったのか、目の前のことは本当に現実なのか…。
わずか数秒の間に、幾つもの自問自答が脳裏を行き交っていた。
”ヤバい…。逃げなきゃ…”
結局、この判断に至るまでには、さほどの時間は要しなかった。
ジュリは夢中で屋上を後にした。
7階からエレベーターで1階へ降りたジュリは、ビルを出ると、恐々とアユムの転落した道路付近をビルの端からそっと目をやった。
”えっ!”
ジュリは、自らのその目に映った光景に思わず驚愕した。
それは、何事もなく人が行き交ういつもとどおりの”日常”だったのだ…。
”いない!アユム、いないじゃない!一体、どういうことなの…”
ビル越しから、飛び出しそうなくらい目を大きく見開いて現場を凝視していたジュリは、心の中で何度もそう叫んでいた…。