都市夢ーとしむー
第二章/推参、黒い影
見初められた悪女
その1/異変
”おかしい、絶対…”
自宅のマンションに戻った後、ジュリは懸命に頭を整理しようと努めるが、考えれば考えるほど混乱していった。
食事どころではなく、定期的に脂汗がにじみ、喉が乾ききっている。
さらに吐き気を催したジュリは、洗面所に駆けこんだ。
...
”ゲー、ゲー…”
ほとんど胃液状態のモノを口から無理やり吐き出すと、今度はめまいがして、洗面台に両手をついて肩で息をしていた。
”アユムが屋上から落ちたのは間違いない。でもどこへ行ったのよ!私はどうすればいいの…”
何しろ、頭を整理しようにも、ここで思考が行き詰るのだ。
そこでジュリは、現実面だけでも、まずは想定を巡らせることにした。
...
”今日会社に入ったことは、セキュリティ認証でわかる。あと、監視カメラにも二人は映っているはずだ。口論している姿とか…”
”何しろ明日会社にアユムは来ない。これは間違いない。仮に行方が分からないとなれば、警察が動くのも時間の問題だ。どこかで死体が見つかっても…”
”そうしたら、私が警察に聴取される。もし、本当のことを正直に言ったら…、まずいよ、どう考えても。口論の末アユムを突き落したと疑われる。下手したら殺人罪だ…”
ジュリはここまで考えを巡らすと、再び吐き気に襲われた。
そして、その後…。
...
急に両の手が痛みだしたのだ。
それは、手の甲がズキンズキンと神経を突く感覚の痛みだった。
”うっ、どうしたんだろう…”
咄嗟に洗面所の水で手の甲を冷やすと、若干痛みは引いてきた。
ジュリは大きくため息をついて顔を上げると、自分の上半身が映っている正面の鏡をじっと見つめていた。
...
やがて両目から涙がこぼれてきて、涙で自分が歪んで見える…。
すると…、瞬きの間に、鏡の中の自分の後ろには誰かが映っているでないか!
ジュリは勢いよく後ろを振りかえった…。
その1/異変
”おかしい、絶対…”
自宅のマンションに戻った後、ジュリは懸命に頭を整理しようと努めるが、考えれば考えるほど混乱していった。
食事どころではなく、定期的に脂汗がにじみ、喉が乾ききっている。
さらに吐き気を催したジュリは、洗面所に駆けこんだ。
...
”ゲー、ゲー…”
ほとんど胃液状態のモノを口から無理やり吐き出すと、今度はめまいがして、洗面台に両手をついて肩で息をしていた。
”アユムが屋上から落ちたのは間違いない。でもどこへ行ったのよ!私はどうすればいいの…”
何しろ、頭を整理しようにも、ここで思考が行き詰るのだ。
そこでジュリは、現実面だけでも、まずは想定を巡らせることにした。
...
”今日会社に入ったことは、セキュリティ認証でわかる。あと、監視カメラにも二人は映っているはずだ。口論している姿とか…”
”何しろ明日会社にアユムは来ない。これは間違いない。仮に行方が分からないとなれば、警察が動くのも時間の問題だ。どこかで死体が見つかっても…”
”そうしたら、私が警察に聴取される。もし、本当のことを正直に言ったら…、まずいよ、どう考えても。口論の末アユムを突き落したと疑われる。下手したら殺人罪だ…”
ジュリはここまで考えを巡らすと、再び吐き気に襲われた。
そして、その後…。
...
急に両の手が痛みだしたのだ。
それは、手の甲がズキンズキンと神経を突く感覚の痛みだった。
”うっ、どうしたんだろう…”
咄嗟に洗面所の水で手の甲を冷やすと、若干痛みは引いてきた。
ジュリは大きくため息をついて顔を上げると、自分の上半身が映っている正面の鏡をじっと見つめていた。
...
やがて両目から涙がこぼれてきて、涙で自分が歪んで見える…。
すると…、瞬きの間に、鏡の中の自分の後ろには誰かが映っているでないか!
ジュリは勢いよく後ろを振りかえった…。