都市夢ーとしむー
シモベとして
その1/証し



「ジュリ、アンタにはすでにシモベとしての”証し”を植え込んであるわ。両手に浮き出る三縦線がそれ」

ジュリは条件反射的に両の手の甲をかざして、凝視していた。

「…すぐには無理だけど、アンタが私の僕として、そっちの世界で”仕事”を通せる”術”を駆使できるようになるから。まあ、頑張んなさい」

「じゃあ、あの光る緑の3本線がまた浮き出るの?」

ジュリは、昨日のあの痛みを脳裏にフラッシュバックさせてリカに尋ねた。

...


「そう。主に怒りとかで、感情が高ぶった時に来光するわ。それをコントロールできるようになれば、必要な時に来光させられる。試行を繰り返すうちに、私がそっちの世界で駆使できる力の一部が使えるようになるわ、いずれね」

「私が生きている世界で現実に手を加えられるの?いずれはこの私でも…」

「まあ、そんなとこではある。ただし、私の意に反するその力の行使は絶対ダメ。それが守れなかった場合は、僕の明しを奪う。そもそも、私の意に背いたり裏切ったら、天上獄で立ちんぼにさせるわ。身が腐り果てるまで、ほぼ永遠を後悔の念と共に立ち尽くすのよ。近いうちに現物を見せてあげるけど、これだけは心しておきなさい。いい?」

「わかった…」

さすがにこう迫るリカの目からは、今のジュリにとって背筋がゾクッとくるほど怖さが伝わった…。





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