都市夢ーとしむー
その2/理由


ジュリはもう腹を据えていたが、どうしても聞いておかなければならないことがあった。
それは、理由…。


...


「ひとつだけ教えて欲しいわ。なぜ、私なの?私が、あなたの…、その、シモベとして選ばれたのか…。その理由が知りたい」

「簡単ね。私のメガネに叶ったからよ。ジュリ、アンタはそっちの世界で言う性悪女よ。自分でも自覚あるでしょ?」

「そう言うことなのか…」

「…私のシモベは人間として汚く、心が醜くなくては務まらない訳。それは、タマとして契約する若い人女の心が純でなくては私の実体を醸すエネルギーにならないのと相反するのよ。今までのシモベはハズレばっかりだったけど、アンタは素質があるわ。しっかり勤めなさい!」

「はい…」

ジュリの口からはやや元気のない返事が漏れた…。
正直、心の醜さと人間としての汚さを別の世界の女に太鼓判を押されても素直に喜べるはずなどなく、萎える思いだったのだ。


...


ともあれ、ジュリは”人間ではない”妖しい女、リカに救われた。
言うなれば、以後は悪魔に魂を売った女としての運命が待っている。

「当面は流動的だから、私が導く方へ沿っていればいい。私にもいろいろ気に留まることがあるから。それによってアンタの使い方も変わるしね。ただし、この会社はいいタマが揃ってるから気に入ってるのよ、フフ…」

リカは意味深な言い回しだったが、ジュリにはピンときた。

”アユムの前に急死した二人もこの女と契約したんだ…”

そしてリカは、ここでスッと姿を消した。





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