都市夢ーとしむー
その4/女魔人


結衣はすでに習慣となっていた。
夜、自宅で机に向かって勉強していると、自然と”あのこと”が頭に浮かび、もっと知りたい衝動に駆られるのだ。

”ちょっとだけ、サイト覗いてみよう…。息抜きだしね…”

結局、この夜も結衣は、パソコンで”あそこ”を訪問するのだった。


...


”はあ~、女魔人…?”

黒いスーツに身を包んだ高身長の若い女は、ついに”女魔人”と化していた…。

”ヘンテコな都市伝説、ここまで来たらトンデモのレベルじゃん…”

と…、呆れながらも結衣はパソコンのディスプレイに前のめりで、
食入るようにサイトの最新リリースを読み込んでいた。

彼女が今夜ゲットした”知識”は3つあった。

1、リカがこの世界で実体を確保できる時間は日に日に増している。もはや夜だけでなく、白昼も人ごみに紛れて徘徊している可能性は大だ。
2、そしてこの世界で行使できる術は飛躍的に拡大し、その能力は現代の”女魔人”としての呼称を得るに至った。
3、彼女がこの世界で実体を得られるためのエネルギー源である、都会の若い女の好みは一定地区に限定される傾向にあり、噂に上っている地区はS区本陣坂通り付近らしい。


...


”わー、本陣坂通りって、学校のすぐ近くじゃん!”

結衣は正直、胸が躍った。

”学校の行き帰り、黒いスーツ着た女の人と道ですれ違ったら、その人がリカかもしれないわ…”

結衣はすぐに訂正した。
”女魔人”リカと…。

”うーん、魔女じゃなくて女魔人ってのがイケてるな。何しろ背が170センチ級だってもん。魔女じゃあねえ…(苦笑)”

約1時間後…。
結衣はサイトからログアウトしてパソコンを閉じた後、再び勉強に励むことにした…。





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