都市夢ーとしむー
来光せり
その1/後輩
その日、ジュリは自宅マンションの部屋に、自らのプロジェクトチームに配属させるつもりの4人を招いた。
そこでジュリは大胆にも、正式発表を前に、4人には江副常務からの内示を告げたのだった。
「さあ、今日は無礼講で行きましょう。まず、私からね。この度、江副常務から近日来日予定のヘンネル一行の折衝は、PTを編成した私に一任という内示をいただいたわ。そこで、私はここの4人をメンバーで引っ張る。みんなにはそのつもりで、今から臨んでもらいたいの」
4人はジュリの開口一番に目を見開き、一様に驚いた様子だった。
...
「言うまでもないけど、営業部はフランスのルルーヌとの提携を推進して、ヘンネルとの共同事業をつぶしにかかってるわ。私たちはその辺の戦略に備えなくてはならない。一丸となってね…。アオイ、今日はあなたに仕切ってもらうわ」
「先輩…」
アオイこと藤沼葵…。
ジュリにとっては子飼いの2歳年下で、すでに体の関係に至っており、禁断の子弟関係にあった。
...
ジュリを含めて5人によるミーティングは、約1時間半で終わった。
すでにアオイ以外は帰って、部屋にはジュリとアオイの二人だけだった。
「アオイ、お疲れ。ビールでも飲もう」
「はい…」
アオイは冷蔵庫から缶ビール2本を手に取り、ダイニングテーブルに運んだ。
「先輩‥、今日はあえて全員からの要望、懸念の提議を全部出させて、それをまずは受け取るまでに留めました。それに対して彼らにどんな対応を取られるんですか?」
「3人のうち、誰か適当なのをイズミに近づけるつもりよ」
「先輩、それって…」
「…アオイ、そう言うことよ。営業の渡仏派遣チームで、まともに”話せんの”は清田イズミ一人ってことが突きどころになるわ。イズミをチョンできれば、私たち一騎当千の若手チームがトータルで海外折衝の”実”を役員連中にぶつけられるのよ。そこで勝負が着く…」
「…」
缶ビールを手にしたアオイは、憧憬する先輩の言にうっとりと聞き入っていた…。
その1/後輩
その日、ジュリは自宅マンションの部屋に、自らのプロジェクトチームに配属させるつもりの4人を招いた。
そこでジュリは大胆にも、正式発表を前に、4人には江副常務からの内示を告げたのだった。
「さあ、今日は無礼講で行きましょう。まず、私からね。この度、江副常務から近日来日予定のヘンネル一行の折衝は、PTを編成した私に一任という内示をいただいたわ。そこで、私はここの4人をメンバーで引っ張る。みんなにはそのつもりで、今から臨んでもらいたいの」
4人はジュリの開口一番に目を見開き、一様に驚いた様子だった。
...
「言うまでもないけど、営業部はフランスのルルーヌとの提携を推進して、ヘンネルとの共同事業をつぶしにかかってるわ。私たちはその辺の戦略に備えなくてはならない。一丸となってね…。アオイ、今日はあなたに仕切ってもらうわ」
「先輩…」
アオイこと藤沼葵…。
ジュリにとっては子飼いの2歳年下で、すでに体の関係に至っており、禁断の子弟関係にあった。
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ジュリを含めて5人によるミーティングは、約1時間半で終わった。
すでにアオイ以外は帰って、部屋にはジュリとアオイの二人だけだった。
「アオイ、お疲れ。ビールでも飲もう」
「はい…」
アオイは冷蔵庫から缶ビール2本を手に取り、ダイニングテーブルに運んだ。
「先輩‥、今日はあえて全員からの要望、懸念の提議を全部出させて、それをまずは受け取るまでに留めました。それに対して彼らにどんな対応を取られるんですか?」
「3人のうち、誰か適当なのをイズミに近づけるつもりよ」
「先輩、それって…」
「…アオイ、そう言うことよ。営業の渡仏派遣チームで、まともに”話せんの”は清田イズミ一人ってことが突きどころになるわ。イズミをチョンできれば、私たち一騎当千の若手チームがトータルで海外折衝の”実”を役員連中にぶつけられるのよ。そこで勝負が着く…」
「…」
缶ビールを手にしたアオイは、憧憬する先輩の言にうっとりと聞き入っていた…。