都市夢ーとしむー
その4/遺影を前に…
群馬県T市内にある原アユムの生家に着いたのは夕方4時近かった。
イズミは遺族に同期入社の友人、アユムの訃報を赴任先のフランスで伝え聞いて、葬儀には出向けなかった件を詫び、マリと共に線香を手向け遺影に手を合わせた。
アユムの母は二人の弔意に感謝し、盛んに涙を拭っていた。
...
”アユム…、あなたには直接謝りたかった。でも勇気が出なくてできなかった。ごめんなさい…”
遺影の中のアユムの笑顔に向かって、イズミは黙とうしながら、あることに対する謝罪の念を伝えるのだった。
そして、その閉じた両の瞼からは涙が一滴、頬を伝わっていた…。
...
「マリ、今日はホントにありがとう。…なんかさ、どうしても私一人じゃ、アユムが寂しがるんじゃないかって気がしたんだよね。そしたら、真っ先にあなたの顔が浮かんでさ。マリを一緒に連れていったら、アユム喜ぶだろうって…。なんでそんな気持ちが湧いてきたか、よくわからないんだけど…」
「…私も今日、アユムにお線香あげられてよかったと思う。正直、会社辞めてずっと会ってなくて、大した付き合いもなかったからさ…、半分運転手って気持ちだった。でもねえ…、彼女の遺影に手を合わせててたら、なんだか、不思議な感じになって…。私も、それ、理由は分からないけど」
帰りの車中、マリはいつになくしんみりとした口ぶりでそう語っていた。
”もしかしたら、私達たちを不思議な感覚に導いたのは、アユム自身だったのかもしれない…”
イズミは、すでに真っ暗になっている車窓の外を眺めながら、そんな思いに至っていた…。
群馬県T市内にある原アユムの生家に着いたのは夕方4時近かった。
イズミは遺族に同期入社の友人、アユムの訃報を赴任先のフランスで伝え聞いて、葬儀には出向けなかった件を詫び、マリと共に線香を手向け遺影に手を合わせた。
アユムの母は二人の弔意に感謝し、盛んに涙を拭っていた。
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”アユム…、あなたには直接謝りたかった。でも勇気が出なくてできなかった。ごめんなさい…”
遺影の中のアユムの笑顔に向かって、イズミは黙とうしながら、あることに対する謝罪の念を伝えるのだった。
そして、その閉じた両の瞼からは涙が一滴、頬を伝わっていた…。
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「マリ、今日はホントにありがとう。…なんかさ、どうしても私一人じゃ、アユムが寂しがるんじゃないかって気がしたんだよね。そしたら、真っ先にあなたの顔が浮かんでさ。マリを一緒に連れていったら、アユム喜ぶだろうって…。なんでそんな気持ちが湧いてきたか、よくわからないんだけど…」
「…私も今日、アユムにお線香あげられてよかったと思う。正直、会社辞めてずっと会ってなくて、大した付き合いもなかったからさ…、半分運転手って気持ちだった。でもねえ…、彼女の遺影に手を合わせててたら、なんだか、不思議な感じになって…。私も、それ、理由は分からないけど」
帰りの車中、マリはいつになくしんみりとした口ぶりでそう語っていた。
”もしかしたら、私達たちを不思議な感覚に導いたのは、アユム自身だったのかもしれない…”
イズミは、すでに真っ暗になっている車窓の外を眺めながら、そんな思いに至っていた…。