都市夢ーとしむー
その4/ある接触


夕方4時ちょっと過ぎ…。

イズミは諸々の報告申し合わせやらミーティングやらを終え、やっとデスクワークにつき、山のような雑務処理に格闘中だった。

”ああ、いけない…。ライン返さなきゃ…”

≪遅くなってゴメン。
なんとか約束通りの時間にはいけそう。
では、のちほど…≫

返信はすぐきた。

≪ルルーヌをおとしたヒーローだもん。
今日はみんなから引っ張りだこだったよね。
オレは夜まで待つ!≫

ラインの相手は、同じ営業部の志田慎也だった。

...


「清田さん、内線です。業推企画から…」

”ふう…、今度は業推企画か…”

この日のイズミは、さすがに帰国御出社初日ということで、総務をはじめ、各課からの諸連絡も引っ切り無しのモテモテぶりだった…。

「はい、代わりました。清田です」

「あの…、自分は業務推進企画室の郡司と申します。帰国後、大変お忙しいところすいませんが、急ぎでお会いしてお話ししたいことがあるんです。時間的には30分程度で済みますので、今日、この後いかがでしょうか?」

イズミは正直、困惑した。
ルルーヌとの一件で、社内でも実に多くの人からエールを送られ、確かにそれは嬉しい。
だが、それにかこつけた”さまざま接触”が、今日一日でも何件かあったのだ。

興味本位、やっかみ、カマかけ…。
それは部署・男女・先輩後輩の別なくだった。

”前から知ってる人じゃあないし、なんだろか…。ちょっと怪しいかもだよな”

結局、彼女は要件を確認したのだが…。






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