都市夢ーとしむー
遠隔トリック
その1/目撃したモノ
”この人…。ここまで言って大丈夫なの…。こっちが心配しちゃう…”
イズミがそう案じたのも無理はない。
彼は自分がジュリからイズミに近づき、誘惑なり弱みをつかむなり、ルルーヌとの事業提携で一躍時の人となった清田イズミを失脚させる材料を得るミッションを発せたれたという…。
...
「確かにジュリとは同期入社だし、総合職でバリバリやって、女性初の課長職をゲットした彼女をライバル視はしてたわ。でも、向こうがそんなにまでってのは信じられない…」
この時のイズミは相手の郡司ヒサトに語ったと言うより、独り言に近かった。
「清田さん、オレ…、恐いんです、彼女が。彼女に命令されると、あの…、なんか不思議な感覚になって。だから…」
「ふう‥。でもね、いくらまだ入社2年でも、男なんだから…。いざとなったら捨て身になって覚悟を持つことを求められる修羅場って、これからも直面すると思う。しっかりしないと…」
「はあ、すいません。それでも、あの人は怖いんですよ」
イズミは彼の怯えようが、どこか、いびつに感じられて仕方なかった。
しかし、彼の話はその先があった…。
...
「…あのう、原アユムさんって先日亡くなられた総務課の人…。あの方とも、清田さんと影山さんは同期でしたよね?」
「うん…。でも、どうしてまた…?」
「先々週の日曜の日中、僕、会社に出たんです。夕方近く、資料室に用ができたので、6階に行ったンです。資料室の斜向かいの総務課に二人がいて…」
「ええー?その二人って、アユムとジュリってこと…」
「はい…、そこで二人は何か言い争って…。それで…」
「なに?…その後何かあったの?」
「何かを奪いあってる様子で、影山さんが原さんを追いかけて、会談で屋上まで登っていったようなんです」
「ちょっと、いい?あなた…、屋上までって、なんでわかるの?二人を追いかけたの?」
「いえ…、資料室から持ちだした書類を窓際でチェックしていました。でも、振ってきたんです、上から…。原さんが…」
「!!!」
その1/目撃したモノ
”この人…。ここまで言って大丈夫なの…。こっちが心配しちゃう…”
イズミがそう案じたのも無理はない。
彼は自分がジュリからイズミに近づき、誘惑なり弱みをつかむなり、ルルーヌとの事業提携で一躍時の人となった清田イズミを失脚させる材料を得るミッションを発せたれたという…。
...
「確かにジュリとは同期入社だし、総合職でバリバリやって、女性初の課長職をゲットした彼女をライバル視はしてたわ。でも、向こうがそんなにまでってのは信じられない…」
この時のイズミは相手の郡司ヒサトに語ったと言うより、独り言に近かった。
「清田さん、オレ…、恐いんです、彼女が。彼女に命令されると、あの…、なんか不思議な感覚になって。だから…」
「ふう‥。でもね、いくらまだ入社2年でも、男なんだから…。いざとなったら捨て身になって覚悟を持つことを求められる修羅場って、これからも直面すると思う。しっかりしないと…」
「はあ、すいません。それでも、あの人は怖いんですよ」
イズミは彼の怯えようが、どこか、いびつに感じられて仕方なかった。
しかし、彼の話はその先があった…。
...
「…あのう、原アユムさんって先日亡くなられた総務課の人…。あの方とも、清田さんと影山さんは同期でしたよね?」
「うん…。でも、どうしてまた…?」
「先々週の日曜の日中、僕、会社に出たんです。夕方近く、資料室に用ができたので、6階に行ったンです。資料室の斜向かいの総務課に二人がいて…」
「ええー?その二人って、アユムとジュリってこと…」
「はい…、そこで二人は何か言い争って…。それで…」
「なに?…その後何かあったの?」
「何かを奪いあってる様子で、影山さんが原さんを追いかけて、会談で屋上まで登っていったようなんです」
「ちょっと、いい?あなた…、屋上までって、なんでわかるの?二人を追いかけたの?」
「いえ…、資料室から持ちだした書類を窓際でチェックしていました。でも、振ってきたんです、上から…。原さんが…」
「!!!」