都市夢ーとしむー
その4/それぞれの反応



イズミはさっそく、同じフロアでデスクワーク中の慎也にラインで報告した…。

≪やったー!
飛び級昇格、スゴイ!!≫

≪ありがとう!
とにかく、昼はよろしく頼みます≫

≪了解。
段取りとおり待機してる
ガンバレ!≫

郡司ヒサシとの約束の時間は1時間後に迫っていた…。


...


「先輩…、金熊室長からは何の件だったんですか?」

「…役員会、急きょ今日になったって」

「じゃあ、その場で海外営業部のルルーヌ案件が…」

「そうなるでしょう。…それと、あっちの女性リーダーの昇格も決まるようよ」

「清田さんですか!先輩と同じ課長に就くのか…」

「アオイ、彼女、その上ってことみたいだよ」

「えー!まさか…。そうなると、次長補待遇…」

「そのものズバリよ。本社営業部長が直轄する海外営業部に次長補ポストを新設して、そのイスに今回フランスで大手柄の清田イズミを座らせる訳ね」

藤沼アオイは影山ジュリの性格を熟知しているので、感情をあらわにすることなく、さして動揺もしていない先輩には戸惑いもあった。
そんなかわいい後輩の様子を察して、ジュリはニヤッと意味ありげな笑みをこぼし、その胸の内を告げた。


...


「江副常務は、役員会でヘンネル折衝のPTセクション新設を通したら、その場で私をヘンネル折衝対策準備室長としての提案を上程するつもりだったのよ。それを社長派が察知したんで、その対応策よね、清田抜擢はさ」

「いいんですか…、金熊室長は内心ではかえて好都合だとほくそえんでるでしょうし…」

「まあ、目の上のたんこぶである私をセーブさせてくれたんですものね、ライバルの営業部に。…そりゃあ、顔にはシメシメって書いてあったわね、金熊さん(笑)。だから、当の輩をチョンなのよ。わかるわね、アオイ」

「先輩…」

アオイは明らかに困惑の表情を浮かべていた。
しかしジュリは、ここでアオイがどんな思いを抱くかを織り込んだ上で、あえて言い切ったのだ‥。






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