都市夢ーとしむー
その6/夜の作戦会議


≪よし!
やったな!!
こっちも収穫得たから、今夜のうちに話し合おう。
これから部屋に行っていいか?≫

≪うん。
待ってる。≫

”慎也も何か、有用な情報なりをゲットできたのかもしれない…。ちょうどいいよ。こっちもネットである程度拾えたし。あの怪しい女の正体を掴む手掛かりに、何としても結びつけないと‥”

この時点のイズミは、3日後の金曜夜が当面のリミットと据えていた。
彼女は慎也の到着前を待つ間も、リサーチに余念がなかった。

...


慎也がイズミのアパートに着いたのは、夜8時半近かった。
まずは二人でアユムの残してくれたデータをひと通り確認して、経費の不正計上を暴く証拠に位置づけられるという結論に達した。

一方の飲酒運転の偽証報告は、影山ジュリのクビをもぎ取るに十分過ぎる内容ではあるが、次期副社長が濃厚な副島常務も”共犯”ということで、二人とも、その扱いはかなり慎重にならざるを得ずという認識を持った。

「いずれにしても、これは”連中”への攻撃材料にはなる。つまり、影山ジュリ一人を倒すならこれでOKだよ。しかし今、オレ達が直面してるのは、この世の者かどうかわからないような禍々しい存在や現象も含んでる。そこで、トータルに対策を講じないと…。最低でも言えるのは、命にかかわる危険なレールに二人は乗っちまったんだから‥」

「うん。端的にはジュリに何やら力を与えてるらしい、魔物だか妖怪だか知らないけど、黒いスーツの女の正体を掴んで倒す方策を持たないと勝てない‥」

「ああ…、そうなるよな。そこで、まずオレの仕込んできた情報を告げるよ」

二人はテーブルを挟んで、正面で顔を突き合わせるように語りあっている。
それは、極めて危険な道を共に歩む恋人間による、作戦会議という会話だった…。






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