都市夢ーとしむー

その８/キーマン


「…じゃあ、その３人組の同級生のお兄さんも刑事さんだったと…」

「そうなんだ。でも、そのお任さんが妹の同級生、つまり３人組の少女たちに接しって来た時は、警察をやめてて、要は例のアレで亡くなった女子高生の兄という立場でいろいろ尋ねてきたらしい」

ここでイズミは慎也はストレートに聞いた。

「そのお兄さん、元刑事だったけど白日夢のこととかも否定していなかったのね？」

「…そうだったみたいだ」

彼の答えも端的だった。
そして、慎也はここで神妙な顔つきをして、”実はさ…”と切り出した。

...


「えー？…慎也、あなた、その元刑事さんと会えるの！」

イズミは思わずすっとんきょな声をあげた。

「うん。その女子高生たちを経由して、Ｊリードレンの女子社員の件で、オレの総務同期が連絡先を控えていたんで。その人は妹さんを若くして亡くしてる。そして死の間近は、あの白日夢を見ていたことを承知してた」

「慎也…」

「でも、そんなに気にも留めてなく、後からはきっと、事前にその白日夢のことをもっとよく聞いたり、調べたりしておけば、妹を救えたかもって後悔して田かも…。だからこそ、今イズミがその夢に持って行かれそうになってるんなら、その人に何か救える手立てはないか聞いてみる価値はあると思ってさ」

イズミはもう涙をボロボロ流していた。

...


「今日、さっそくケータイで連絡を取ったよ。今日は長野で、明後日の日中、東京に戻るだったそうで、こっちの用件を伝えたら、明後日の夜、会ってくれると言ってくれた。イズミ、一緒に行こう」

「うん…。ありがとう、慎也…」

”明後日なら木曜日だ。金曜日に郡司ヒサシのところへ行くまでにその人と会えるなら、黒いスーツの女と不気味な力を持った形跡のあるジュリとも何とか対抗できるヒントが得られるかもしれない…”

イズミは慎也にその人の名を尋ねた。

「沢井さんって方だ。妹さんはカスミさんという名だったらしい…」

”この人が私のこれからの運命を決めるキーマンになる…”

イズミはそう直感た…。