堕落シンデレラは秘密に同居する。👠


「オレンジでも食う?」
 翌日の昼前。寝起きでぼ~っとしたわたしに向かって言った。

 わたしの意識がオレンジという言葉によって、はっきりする。

「た、食べるっ!!」

「持ってくるわ」

 スウェット一枚の蓮翔は冷蔵庫まで行き、扉を開けてオレンジを取り出し、扉を閉めてわたしまで歩いてくる。

 そして、わたしの隣に座ると、オレンジの皮を指でムキムキし、オレンジの実が皮からぴかぁ~と出てきた。

 綺麗~~!!

「ほれっ」

 蓮翔はオレンジ一切れを持つ。

「ありがと」

 わたしはそれを受け取ろうとすると、

「いいから口開けろ」
 蓮翔にそう言われ、口を開けるわたし。

 ポイッ。

「!?」

 蓮翔がわたしの口の中に一切れ放り込む。

 わたしはそのオレンジを噛んでいく。

「どんだけ噛んでんだよ!?」

「うっ、うるさいっ!!」
「てか、祭りなんて、やっぱり、行きたくないっ!!」

 パジャマ姿のわたしはグレ始める。

 蓮翔は、カッ! と両目を見開く。

「粉被りに拒否権はないっ!」

「むぅっ、じゃあ、パジャマで行くっ!」

「パジャマはナシ!」

「パジャマの上からコート着るっ!」

「それもナシ!」

「え~」
 わたしは口を尖らせて言う。
< 141 / 256 >

この作品をシェア

pagetop