堕落シンデレラは秘密に同居する。👠

「穿かない」

「なんで?」

「なんでって、べ、別にお祭りにスカート穿かなくてもいいでしょっ」

「その理屈、意味分からんっ」

「それにっ、スカート穿くと両足すーすーするしっ」

「ババアかよ」
 蓮翔は真顔で言う。

「蚊にも刺されるじゃんっ!!」
「だから、スカート穿かないのっ!」

「なるほど」
「要するにお前は女子になるよりも、蚊に刺されないようにする方が大事な訳な」

「うんっ!」

「うんって……。まぁいいや、行くぞ」

「うんっ!」

 わたし達は鞄を持って部屋を出た。

「あ、雨降ってるね」

「少しな。ま、このくらいなら、傘なしで大丈夫だろ」
 蓮翔はそう言うと、わたしの右手をぎゅっと握る。

「何握ってるのっ!」

「こうしてないと、お前どこ行くか分かんねぇだろっ」
「なんてったってベイビーだからな」

「はあ~!?」

 蓮翔はわたしの右手を握りながら歩き出す。

「は、離してよっ!」

「やだ」

「離せぇ~!」

「離さねぇよ」

 なんなの、もうっ!!

 ……恥ずかしいよ。
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