堕落シンデレラは秘密に同居する。👠

「同クラの女子から聞いたけど、あんたを賭けてあいつら明日試合するんだって?」
 反対側のコートにいる雛乃ちゃんが尋ねてきた。

「うっうんっ」

「ほんと、暇だよね」
「みんな、あんたのこと可愛いって言うけど、私はそう思えない。イラつくだけで」

「……」
 わたしは何も答えない。

「文章もイラつくし」

 わたしは首を傾げる。
「え? 文章?」

「あんたは全く気付いてなかったけど、私、ずっとあんたのこと見てたんだよね」
「ノートに『堕落シンデレラ』って書いたの見た時、びっくりした」
「まさか、あんたと前にリレー小説書いてたなんてね」

 ええええええええっ!?!?!?

「雛乃ちゃんって、もしかして、陽菜(ひな)ちゃん!?」

「そうよ」

「ええっ!?」

「この話は終わり。練習再開しよ」

「うっうんっ……」

 まさか、雛乃ちゃんが、陽菜ちゃんだったなんて……。
 世間ってけっこう狭いんだなぁ。

「今度はちゃんと取りなよ?」

「ど、努力します……」

「じゃあ、行くよっ!」
 雛乃ちゃんはそう言うと、シャトルを打ってきた。

「ひええええええっ」

 わたしの声が体育館に響いたのだった。
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