堕落シンデレラは秘密に同居する。👠

 蓮翔は胸に手を当てながら言うと、わたしの方に向かって全力で走ってくる。
 そして、わたしをお姫様抱っこする。

 ぼんやり見える蓮翔の顔。

「れん……試合…………」

「んなもん、どうでもいいわ!!」 

 どうでもいいって……てか、素になってるよ…………。

「でも……負けになっちゃうよっ…………」
 わたしは今にも泣きそうな声で言う。

 わたしのせいで、負けになるなんて………嫌だよっ………。


「お前を守れるなら、負けたって良いよ」


「蓮翔っ……」

 少女漫画のヒーローみたいな言葉に、思わず胸がきゅんするわたし。

「保健室行くぞ!!」

 蓮翔はそう言うと、わたしをお姫様抱っこしたまま歩き出す。

「きゃ~~~~!!!!」
 女子達の歓声が上がる。

 勝ててたのに……自ら負ける道を選ぶなんて……。
 蓮翔は本当……。


「…………ばかっ…………」


 わたしはそう言うと、(ゆる)やかに両方の瞼を閉じた。
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