堕落シンデレラは秘密に同居する。👠

 噛みつかれるような乱暴なキスをされるかと思ったら、
 今までで一番優しくて、忘れられなくなるくらいの物凄く甘いキスだった。

 なん…………で…………?

 蓮翔は唇を離すと、ベットから降りる。

 そして、鞄のファスナーを開け、
 白い封筒を取り出すとファスナーを閉め、鞄を右肩にかける。

 わたしが起き上がると、蓮翔はテーブルに封筒を置く。

「何……これっ……?」

「今までのバイト代」

「え……?」


 今までのって…………。


「今まで世話になった。じゃあな」


 蓮翔はそう言うとわたしに背を向け、歩き出す。

「ちょっと待っ……」

 わたしは右手を伸ばそうとするも、
 あっ……だめ……と思い、すぐ引っ込める。

 ぱたんっ……。
 玄関の扉が閉まる。

 蓮翔は部屋から出て行った。

 わたしは封筒を手に取り、中を見る。

 札束、けっこう入ってる……。
 なんで今更、こんなのっ……。


「ほんと、自分勝手な奴っ!!!!」


 わたしは封筒をテーブルに投げつける。
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