堕落シンデレラは秘密に同居する。👠

「夢じゃねぇっ!! 現実だ!!!!」

「そっか……良かっ……ゴホゴホッ!!」

「おい、大丈夫か!?」

「……たよ」

「あ? 聞こえねぇっ!!」

「でき……たよっ……」

「出来たって何が……」
 俺がそう言うと、羽希はノーパソを指差す。

 俺は羽希を支えながら、ノーパソのマウスを動かす。
 パッと画面が輝き、ワードの画面が表示され、完結の文字が見えた。

「これって、大賞にエントリーする奴?」

 コクンッと頷く羽希。

 そうか。


 これが……ついに、完成したのか…………。


 出来れば今すぐ読みたいが、今はそんな場合じゃない。

「でも……」

「なんだよ?」

「まだ……」

「まだ、何?」

「エントリー……出来てな……ゴホゴホッ!!」

 羽希は、ゼェゼェ、とすごく苦しそうだ。

「もう何も話すな!!」
「今から救急車呼ぶから!!」

 俺は羽希を支えたまま、鞄のファスナーを開けてスマホを取り出す。

 そして、119番に電話をかけた。
< 232 / 256 >

この作品をシェア

pagetop