堕落シンデレラは秘密に同居する。👠

 俺はそう言うと、拳を握り、羽希に向かって真っ直ぐ突き出す。

「うんっ……まかせるっ……!」

 羽希も拳を持ち上げて、俺の手にこつん、とぶつける。

「じゃあ、行ってくる!」

 俺は羽希の頭をぽんっと軽く叩くと、病室を出る。
 その時、前から羽希のお母さんが走ってくるのが見えた。

「蓮翔君っ!?」


「お母さん、彼女のこと、宜しくお願いします!!」


 俺はそう言うと羽希のお母さんの横を通り、走っていく。

「蓮翔君っ!!」
 羽希のお母さんが叫ぶ。

 今は11時45分くらい。
 まだ、間に合う!!

 絶対、エントリーしてみせる!!!!


 しばらくして病院を出ると、

「ヘイッ! タクスィ~!!」

 俺は右手を大きく上げる。

 ちょうど病院を出ようとしていたタクシーが止まり、パタンッ、と後ろの扉が開く。

 ラッキー!!

 俺はタクシーに乗り込む。

「どこまで?」
 運転手が俺に尋ねてきた。

「チェ・ノベル寮まで」

「OK」

 運転手は、運転し始める。
 動き出すタクシー。
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