新そよ風に乗って 〜慈愛〜

仲間の裏切り

高橋さんとのNew Yorkへの出張のことで浮かれてもいられず、仕事に追われながらも出張の前に部内旅行があることに気づき、憂鬱かつ出張と部内旅行の支度に追われてもいた。
なんで、こんな時に重なるのだろう。どちらかでも1ヶ月前とか、1ヶ月後とかにしてくれれば良いのにと自己中心的な考えが過ぎる。でも、出張は仕事。部内旅行は時間外の事で、しかも行きたい人が参加するもの。だから、欠席する事だって本来出来た。でも出席に丸をしたのは……。それはやっぱり高橋さんも参加するから。到底、話すことなんて出来ないかもしれないけれど、遠くからでも良い。高橋さんを見ていられるだけで、それだけで嬉しいから。そんな細やかな楽しみのために出席すると言ったら、まゆみに笑われるかもしれないけれど。
そんな事を考えているうちに、あっという間に部内旅行まで1週間を切ってしまった。
どうしよう……。
どんなに頑張っても、この荷物の量……。どうにかして、減らさないと。
あの後、高橋さんから受け取った出張スケジュールを見ていると、出発は日曜日になっていて、日曜日に出発することに疑問を持って高橋さんに質問すると、日曜に出発すれば向こうに着くのも時差の関係で日曜日になるから、その日はゆっくりして翌日から働く感じの方が気分的にも楽だからということだった。
海外出張って、いろいろ先々のことまで考えて行動するんだと、改めて感心させられた。
だからその週は金曜、土曜と部内旅行に行き、翌日から出張という何だか慌ただしい週末になりそうだった。
ということは、バゲージは土曜日の夕方に宅配に取りに来てもらうか、木曜日の夜……。でも木曜日は仕事だし、早く帰れる確約はない。そうなると、バゲージは持参して行くしかない。だから、どうしても荷物の量を減らさなければならないのに。
それにしてもNew Yorkでのスケジュールを見ていると、かなりタイトなスケジュールだ。海外出張はハードだと聞いたことがあるし、移動も大変らしい。行く前から、すでに不安と期待とが入り交じって複雑な心境だった。まして、その前には部内旅行もあるから尚更だ。
スーツは着回しするとして、ブラウスの替えはやっぱり必要だし……。いったい、何が一番嵩張っているの? やむなく着替えも最小限にしたのに、殆ど減っていない。下着は……ハッ! 駄目だ。やっぱり下着は減らせない。洗濯したとしても無理だもの。
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