新そよ風に乗って 〜慈愛〜
すると、土屋さんが席を立って黙って売掛の方へと戻っていってしまった。
「土屋さんの席、あるんでしょうか?」
「大丈夫よ。矢島ちゃんが心配しなくたって、あの女はどんな手段を使っても自分の席は確保するから」
「そ、そうなんですか」
「そう。転んでも、ただでは起きないタイプだから」
折原さんの話を聞きながら、土屋さんの歩いて行く方を見ていると、その先に売掛の人達と談笑している高橋さんの姿が見えた。すると、すかさず高橋さんの隣に座っていた女子社員に耳打ちをして立たせると、土屋さんが座ってしまった。
す、凄い……。
「あれじゃ、狙った獲物は逃しませんって感じよね。まるで、野獣だわ」
「や、野獣?」
「それでは、そろそろ宴を始めさせて頂きます。まず、乾杯の音頭を経理部長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願い致します」
折原さんの言葉に反応していると、司会のアナウンスが始まったので、話の途中だったが司会者の話に注目した。
部長の乾杯の音頭の後、バイキング形式だったので、みんな一斉にお皿を持って料理の置いてある場所に殺到していたが、どうもそういうのが苦手なのでそのまま席に座ってウーロン茶を飲んでいると、テーブルの目の前にお皿がスッと置かれた。
「ちゃんと、食べないと」
エッ……。
声のする方を見ると、折原さんがてんこ盛りに料理を載せたお皿を右手に持って立っていた。
「土屋さんの席、あるんでしょうか?」
「大丈夫よ。矢島ちゃんが心配しなくたって、あの女はどんな手段を使っても自分の席は確保するから」
「そ、そうなんですか」
「そう。転んでも、ただでは起きないタイプだから」
折原さんの話を聞きながら、土屋さんの歩いて行く方を見ていると、その先に売掛の人達と談笑している高橋さんの姿が見えた。すると、すかさず高橋さんの隣に座っていた女子社員に耳打ちをして立たせると、土屋さんが座ってしまった。
す、凄い……。
「あれじゃ、狙った獲物は逃しませんって感じよね。まるで、野獣だわ」
「や、野獣?」
「それでは、そろそろ宴を始めさせて頂きます。まず、乾杯の音頭を経理部長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願い致します」
折原さんの言葉に反応していると、司会のアナウンスが始まったので、話の途中だったが司会者の話に注目した。
部長の乾杯の音頭の後、バイキング形式だったので、みんな一斉にお皿を持って料理の置いてある場所に殺到していたが、どうもそういうのが苦手なのでそのまま席に座ってウーロン茶を飲んでいると、テーブルの目の前にお皿がスッと置かれた。
「ちゃんと、食べないと」
エッ……。
声のする方を見ると、折原さんがてんこ盛りに料理を載せたお皿を右手に持って立っていた。