新そよ風に乗って 〜慈愛〜
エッ……。
もしかして、高橋さん。少し怒ってる?
「あ、あの……」
「ビルの中を、案内していたんだよね?」
「えっ?」
太田さん……。
「そうか。それじゃ、始めるからこっちに来て」
「は、はい」
慌てて、高橋さんの傍に駆け寄った。
良かった。コーヒー店に行ったこと、バレていないみたい。太田さんに、後でお礼を言わなければ。
「これ、コピーしてくれる」
「はい」
仕事中の高橋さんは、プライベートとはまるで別人のよう。真剣に、淡々と仕事をこなしていく。当たり前のことだけれど、そのギャップがまた好きな私だったりする。
ランチは接待で、朝、紹介された支店長と太田さんが一緒だったが、支店長と高橋さんや太田さんの会話が殆ど分からなかったけれど、分からないと高橋さんが通訳してくれたので、楽しく美味しい食事で時間の経つのも早かった。
フル回転で17時に仕事が終わり、何とか平穏無事に初日を終えることが出来たが、朝のあのhugだけは想定外で何とも耐え難かった。明日も、またあのhugが続くのかと思うとそれだけで憂鬱になってしまう。
「夕食会まで、少し時間があるな」
時計を見た高橋さんが、独り言のように言っている。
今夜は、支社の人達との夕食会。20時にホテルに迎えが来るまで少し時間が空いている。高橋さんは、どうするのかな? 1度、ホテルに戻るのかな。
「取り敢えず、出よう」
「はい」
事務所を出て高橋さんの車に乗ると、少し何か考えていた高橋さんが車を発進させた。
「夕食会までまだ時間があるから、ちょっと寄り道してもいいか?」
「あっ、はい」
土地勘のない私は何も分からないので、何処かに高橋さんが寄るとしても全く構わなかったし、寧ろ嬉しかった。何処をどう走っているのか分からないまま、程なく高橋さんが車をパーキングエリアに停めた。
「此処なんだが、一緒に来るか? もし、疲れているのだったら車で待っていても構わないが」
高橋さんが車を停めたパーキングエリアの前方には、ショッピングセンターの看板が見えた。
ショッピングセンターなんて魅力的な場所に来ちゃったら、一緒に行ってみたいに決まっている。第一、1人で車で待っているなんて、とても心細い。
「一緒に行っても、いいですか?」
「勿論」
もしかして、高橋さん。少し怒ってる?
「あ、あの……」
「ビルの中を、案内していたんだよね?」
「えっ?」
太田さん……。
「そうか。それじゃ、始めるからこっちに来て」
「は、はい」
慌てて、高橋さんの傍に駆け寄った。
良かった。コーヒー店に行ったこと、バレていないみたい。太田さんに、後でお礼を言わなければ。
「これ、コピーしてくれる」
「はい」
仕事中の高橋さんは、プライベートとはまるで別人のよう。真剣に、淡々と仕事をこなしていく。当たり前のことだけれど、そのギャップがまた好きな私だったりする。
ランチは接待で、朝、紹介された支店長と太田さんが一緒だったが、支店長と高橋さんや太田さんの会話が殆ど分からなかったけれど、分からないと高橋さんが通訳してくれたので、楽しく美味しい食事で時間の経つのも早かった。
フル回転で17時に仕事が終わり、何とか平穏無事に初日を終えることが出来たが、朝のあのhugだけは想定外で何とも耐え難かった。明日も、またあのhugが続くのかと思うとそれだけで憂鬱になってしまう。
「夕食会まで、少し時間があるな」
時計を見た高橋さんが、独り言のように言っている。
今夜は、支社の人達との夕食会。20時にホテルに迎えが来るまで少し時間が空いている。高橋さんは、どうするのかな? 1度、ホテルに戻るのかな。
「取り敢えず、出よう」
「はい」
事務所を出て高橋さんの車に乗ると、少し何か考えていた高橋さんが車を発進させた。
「夕食会までまだ時間があるから、ちょっと寄り道してもいいか?」
「あっ、はい」
土地勘のない私は何も分からないので、何処かに高橋さんが寄るとしても全く構わなかったし、寧ろ嬉しかった。何処をどう走っているのか分からないまま、程なく高橋さんが車をパーキングエリアに停めた。
「此処なんだが、一緒に来るか? もし、疲れているのだったら車で待っていても構わないが」
高橋さんが車を停めたパーキングエリアの前方には、ショッピングセンターの看板が見えた。
ショッピングセンターなんて魅力的な場所に来ちゃったら、一緒に行ってみたいに決まっている。第一、1人で車で待っているなんて、とても心細い。
「一緒に行っても、いいですか?」
「勿論」