ぬいぐるみのぼくは、ずっと片想い

再会

「ガシャンッ」

突然、とびらが開いて、
光が差し込んできました。

光の向こうにぼんやりと浮かぶ
人影が見えました。

目の前に、彼女が立っていたのです。

以前より、ずっと背が高くなって、
クルクルと癖のあった髪は長く、
真っ直ぐに伸びて風になびいていました。

四年ぶりに見た彼女はすっかり
大人になっていました。

「うわ、ここなんかくさいよ」

彼女は顔を背けながら、
2本の指でぼくをつまみ上げて、

すぐにダンボール箱に投げ入れました。

箱の中には、彼女が小さい頃に
着ていた服がたくさん入っていました。

このまま捨てられてしまうんだ、
ぼくにはわかりました。

でも、ぼくは嬉しかったのです、
彼女にまた会えたことが。
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