ぬいぐるみのぼくは、ずっと片想い

ゴミ

お母さんはぼくをぎゅっと抱きしめて、

「今までよく我慢したね。これからは、わたしと一緒に新しい場所で暮らしましょう」

と優しい声で言ってくれました。

「ぼくは、みんなを幸せにできたんでしょうか?」

「もちろん。あなたは出会ったみんなを幸せにしてあげた。みんなの笑顔をぜんぶ覚えているでしょう?」

「はい、ぜんぶ覚えています」

ぼくはぬいぐるみ。
だから、記憶をなくしません。

でも、、、

みおちゃんは違いました。
ぼくじゃなくてホンモノの犬を選びました。
そして、ぼくのことを忘れました。

そう思っていると、

「どうして、あなたがゴミにならなかったかわかる?」

お母さんには、
ぼくの心が伝わっているようで、

「えっ、わかりません」

ぼくは慌てて返事をしました。
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