ぬいぐるみのぼくは、ずっと片想い

助けて

生徒のいない教室に
夕陽が差しこんでいました。

夕陽の反射で教室の窓に、
ぼくの姿が映っていました。

ぼくの毛はボサボサになっていました。
足が一本、だらんと取れかけていました。

ぼくは気がつきました。

ぬいぐるみも歳を取っていくことに。 
人間みたいに見た目が変わっていくことに。

窓の隙間から強い秋風が吹いてきて、
ぼくは教壇の上から落ちてしまいました。

床の上に、うつ伏せになって倒れました。
とても苦しく、悲しい気分でした。

みじめでした。

ぼくは、思わず叫びました。

「だれか、助けて」

「どうしたの?」

女性の声が聞こえました。

ぼくを抱き上げようとしたとき、
女性の顔が見えました。

「みおちゃん……」

目の前に、
大人になった彼女がいたのです。
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