天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う

「俺は医者で、こういう休日さえいつ呼び出されるかわからない。きっと、場合によっては羽海よりも仕事を優先する時もある。正直、寂しい思いをさせないとは言えない」

整ったパーフェクトな容貌を持つ彗ならば、女性に愛を語るなんて慣れていそうなのに、甘い言葉ではなく不器用なほど嘘偽りない事実を告げてくる。

たしかに病院で呼び出されている場面に出くわしたこともあるし、初めて結ばれた日の翌朝も隣にいなかった。

けれど、彼はいつだって真剣に医師という仕事に向き合い、ひたむきに努力している。

だからこそプライベートよりも仕事を優先する場合があることに納得できるし、その真摯な姿勢こそ羽海が彗を尊敬し、心惹かれる要因だった。

「でも側にいられる時はお前のことだけを見る。寂しい思いをさせた分、甘やかしてやる。これから先、俺はそうやって羽海と一緒にいたい」

そんな彼から求められれば、嬉しさで胸が一杯で、なにも言葉が出てこない。

魔法にかけられ舞踏会で王子様に見初められたシンデレラもこんな気持ちだったのだろうか。

「頼む。羽海は俺の気持ちに頷くだけでいい」

心の底から愛を告げているように見える彗の姿に胸を打たれ、切望されるまま、ゆっくりと首を縦に振る。

羽海は誤魔化しようがないほど、彗に恋をしていた。



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