天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う

【お話があります。もし帰宅できるようでしたら、連絡をください】

メッセージを送ったままソファで眠っていた羽海は、いつの間にか帰宅していた彗によって起こされた。

優しく肩を揺すられて目を開けると、こちらを覗き込む美しい彗の顔がとても近くにある。

「彗、さん……?」

隼人ひとりを見た時は顔の造形など双子らしく同じでよく似ていると思ったが、表情や醸し出す雰囲気はまるで違うと、ぼんやりとした頭で思う。

羽海を見つめる瞳は優しく、名前を呼ぶ声には愛情が籠もっているように感じた。

「羽海、こんなところで寝たら風邪をひく」
「おかえりなさい。あっ、ごめんなさい、ご飯の準備……」

羽海を気遣うセリフが嬉しくて心が安らいだが、食事の支度をなにもしていないことに気付きハッとする。

壁掛けの時計を見ると、夜の十時を回っていた。つわりに加え隼人と話したことで体調が思わしくなく、少し休むつもりがかなり長い時間眠ってしまったようだ。

妊娠初期はホルモンバランスの影響で情緒不安定になったり急激な眠気に襲われたりするそうだが、自分からすると言い張った家事をそっちのけでうたた寝していたなんて恥ずかしい。

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