天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う

慌てて上半身を起こすが、彗はそんな羽海に不機嫌になるわけでもなく隣に腰を下ろし、寝転がってくしゃくしゃになった羽海の髪を手櫛で梳かしてくれる。

「軽く食べてきたから大丈夫だ。それより、やっぱりまだ体調が悪いのか? 夏バテだと言っていたが、一度うちの内科で診てもらうか」

心配そうに額に手を当てられ、至近距離で絡まる視線に胸がきゅっとなる。

こんな風に体調を心配されたことが以前にもあった。

彼の職業柄なのかもしれないが、自分を気にかけてくれている相手がいるというのは心が温まるような幸せを感じる。

こんなにも大切にされているのに、どうして不安になることがあるだろう。

(きっと隼人さんの言葉なんて嘘だらけよ。それより、早く彗さんにこの子のことを報告したい)

羽海は「大丈夫です」と首を横に振って微笑んだ。

「少し疲れちゃって。それより、お話があるんです」

隼人から聞いた話をどう尋ねるべきか迷ったが、言葉を濁したり遠回しに聞いたりしても仕方がないと判断し、直球で尋ねることにした。

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