天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う
たった数日ぶりなのに、無秩序に並べられた椅子のインテリアを懐かしく感じている自分に驚く。
玄関に入るなり我慢の限界とばかりに抱きしめられ、羽海の存在を確かめるように彗が何度も髪を撫でる。
「羽海……」
名前を呼ぶ声、抱きしめる腕の強さが彗の愛情を示しているように感じ、羽海もまた彼の名を呼んで抱きしめ返した。
「彗さん」
互いの体温が混じり合うほど密着し、彗の鼓動に耳をすませていると、トクトクと自分と同じリズムを刻んでいるのがよくわかる。
外の暑さも忘れて抱きつき、彗の胸元の頬を擦り寄せていると、上の方で彼の喉がグッと鳴った。
「離れがたいが……入るか」
「は、はい」
頭のてっぺんにちゅっと小さなキスを落としてから腕を緩めた彗に促され、ようやく我に返る。
今までこんな風に甘えたことなどないはずなのに、自分の中からわだかまりが消えた高揚感に酔い、これまでにないほど彗にくっついてしまった。