天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う
「俺を茶化そうなんて百年早い」
「そ、そういうのずるいですよ」
「なにが?」
羽海の言いたいことをわかってるくせに、彗はとぼけて見せる。
もっと触れ合いたくなってしまうと言葉にするには恋愛経験値が足りなさすぎて、羽海は口を尖らせて睨むしかできない。
すると、もう一度ちゅっと音を立てて触れるだけのキスをされた。
「んっ!」
「こっちだってギリギリで我慢してるんだ。羽海も同じだけ焦れてもらわないとな」
吐息が触れるほど近い距離で囁かれ、頬がどんどん熱くなっていく。
その視線に耐えられず、羽海はそっぽを向いて小さな声で呟いた。
「私だって……焦れてます……」
「なんて?」
「もうっ! 聞こえてたくせに!」
「ははっ、可愛い。それでいい、もっと俺に落ちてこい」
真っ赤になった羽海を見て、彗は肩を揺すって笑う。
そっと顎に指をかけられ再び見つめ合うと、彼の瞳が羽海を好きでたまらないのだと語っているのがわかった。
(私も、彗さんが好き。これ以上ないほど、あなたに落ちてる……)
羽海は溢れる想いを伝えようと、ゆっくりと自分から唇を重ねた。