テディベアに生け贄を
「ああ───はあ、はあ」
中庭にでて1番に出たのは言葉、というより呼吸。
「疲れたあ」
そう言って、私と同じく呼吸をし始める柊花ちゃん。
ある程度呼吸をして整った後、1番に柊花ちゃんの口から出るのは怒りの言葉。
「テディベアが来るなんて聞いてない!!」
「う、それな」
御簾くんは結局1時間目まで3時間目まで出席していたのだけど、1時間目に見定めでもするように周りを見ていたと思ったら
2時間からはスマホを退屈そうに触りだしてそのまま3時間目までずっといた。
そのせいで、いつもならうるさい休み時間も、誰も席を立たずに、ずーっとシーンとしたままだった。
「なんかさあ、御簾くんの雰囲気がスゴすぎるせいでめっちゃ息しずらいんだよね」
「わかる、呼吸するのも大変なんだよね」
「ってゆうか、テディベアってちゃんと存在してたんだ…!」
なんて、柊花ちゃんが感動してるけど、そんな感情私にはあるはずがなくて、むしろ恐怖。
心なしか、足がガクガク震えてる気がする。
「ってゆうか、後ちょっとで4時間目始まっちゃう!!」
柊花ちゃんが急に中庭にある時計を見て慌てたように言う。
「やばい、走んないと…!」
今は、3時間目の終わりの休み時間に御簾くんがトイレに行くタイミングで、柊花ちゃんと中庭に息抜きに来たから、4時間目の次の授業もしっかりと出ないといけない。