テディベアに生け贄を



挨拶が終わった時、御簾くんがこっちを向いて口を開く


「君、今日のお昼休み暇?」


お昼休み…、ん?


これはもしやお昼のお誘い、とかいうやつ…?


まさか、まさか。


「一応暇、です」


いつもなら昼休みは柊花ちゃんとお昼休みを過ごすのだけれど、今日、毎週第2水曜日は柊花ちゃんの委員会があるから、一人でお昼休みを過ごす。


「そっか、じゃあ一緒にご飯たべようよ」


たぶん、幻聴。


御簾くんのお誘いの言葉が聞こえた気がするけど、きっと幻聴。うん、そのはず。


あのテディベアの一員である御簾くんがこんな私なんかにお誘いの話をするはずがない。


「ごめんなさい、もう一回いいですか」


「お昼、一緒に食べようよ」


幻聴、のはずだった。はずであって欲しかった。


幻聴でなく、ホントの話だったらこんな私がテディベアの一員である御簾くんの話を断れるはずがなく。










< 17 / 24 >

この作品をシェア

pagetop