テディベアに生け贄を
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あの席替えから約一週間。
今のところテディベアのメンバーは誰も登校していなくて、とりあえず安心という状況が続いている。
安心と言っても、朝は毎日テディベアが登校していないかすごくヒヤヒヤするのだけど。
「でも、思ったより寂しそうだねー、あの席」
柊花ちゃんが、わたしの周りの席を遠い目で見る。
「…確かに、寂しいって言われたら寂しいかも…」
「周りに誰もいないからねー」
あ、でもいたらいたらで、それはまた怖いか。とか、柊花ちゃんが言う。
それはそうに決まってるし、もしテディベアのメンバーが近くになったりしたら、怖すぎてもはや授業どころではない。
ああ、早く席替えしてくれないかな…とか思うのも今週に入って多分100回目とか。
「ねぇねぇ、聞いた⁉︎昨日幻の電気またついてたらしいよ⁉︎」
「っえ、またー?こわっ」
クラスの子たちが話しているのが聞こえる。
「最近めっちゃ幻の電気ついてるって聞くよねー」
柊花ちゃんも話が聞こえたのか、のんびりとした口調で話す。
「ねー、一昨日もついてたらしいもんね」
幻の電気というのはこの学校に伝わる噂の一つ。
うちの学校は体育館が学校から独立した形で立っていて、体育館だけの建物が西に立っているのだけど
その体育館には、3階くらいまで全てが体育館のはずだから、体育館の電気を消したら
体育館についているすべての窓から明かりはもれなくなるはずなのに
体育館の電気を消しても、ある窓から電気が漏れている、ということからそんな噂が流れているらしい。