空回りアイラブユー【完】
次の日の朝、教室に着くと朝丘はもう来ていた。
…いつもギリギリなのに珍しい。
朝丘はどんな顔してるんだろう。
朝丘の席は、私の隣の席。二回連続隣同士になって、2人して笑ったっけ。
みんなに軽く挨拶をして、自分の席に座る。
深呼吸をして、隣に座る朝丘に声をかける。
「あ、朝丘っ」
「何。」
精一杯の声は朝丘になんとか届いた。
ただ、昨日までとは違う。冷たい表情に、ぎゅっと胸が痛くなる。
「お、おはよう!」
何も感じ取ってないように、なるべくいつも通りを装って笑顔で挨拶をする。
「…おう。」
複雑な表情をしながらも応えてくれた。
良かった。無視はされなかったとホッと胸を撫で下ろす。
「あのさ…今日一緒に帰らない?」
「なんで。」
氷点下の目。
…本当にあの朝丘かと錯覚するほどの、冷たさ。
「い、いつも水曜は一緒に帰ってるじゃん?」
昨日は火曜日、今日は水曜日だよ。
「そうだっけ。」
どこか遠くをみて、関わりたくないってオーラがする。
「そうだよ…」
三ヶ月以上続けてきたこのルーティンもう忘れちゃった?
「…わかった。」
渋々だけど、了承してくれた朝丘に思わず笑がこぼれる。
放課後、ちゃんと私も好きだって伝えるんだ。