空回りアイラブユー【完】
「夕日のこと諦めれなくなるから、辛い。」
何かを訴えてるような、目。
素直になって手繰り寄せようとしても、すり抜けていく朝丘の存在。
…もう元には戻れないの?
進むことも出来ない?遠くへ行っちゃうの?
「あの、っ、」
「だから…距離を置きたい。」
もうそれ以上何も言ってほしくない、と言いたげな瞳。
「……」
唇を噛んで、黙り込むことしかできなかった。
「俺じゃなかったんだって思ったら、前みたいに、夕日の前で笑えない。」
力なく笑う彼は、今にも壊れてしまいそうなほど儚かった。
「朝丘っ、」
「じゃあ俺行くわ。」
そう言って昨日と同じように、私に背を向けて歩いていってしまった。
…私はどうして追いかけないの?
朝丘のこととなると、臆病になって身体が思うように動かない。
何も出来ないくせに、涙だけは止めどなく溢れてくるから嫌になる。