【SS】夜恋
「全然。……斗真と話すらできなくて、寂しかった」
「え?」
「特別なことなんてしなくていいから、私の傍に居て」
胸ぐらを掴んで引き寄せると、君はきょとんとした顔を、緩い笑顔に変えた。
「うん、分かった」
君の優しくて、愛情たっぷりな笑顔は、私の胸をドキドキと高鳴らせる。
君のことは、嫌いじゃない。
……だけどね。
「いつまで付いてくるの……もう1人にしてってば!」
今も、すれ違ってることに気付いてないでしょ。
「千花が傍に居てって言うから……」
「それは四六時中って意味じゃない!」
「分かった……」
「いちいち落ち込まない!」
もう、君は私のことが好きすぎる。
……そんな君に、愛想を尽かさない私も、私なんだけど。
[終]