②Sparkl

レッスンルームAにて




『明日のえーえむ10時!
レッスンルームAにしゅーごー!』


双子の妹である桃からの一方的なメッセージに、『りょーかい』と返して眠りについた昨夜。


今は忙しい時期のはず。


わざわざ集合をかけるなんてどうしたんだろう?


と、思ってはいたけども……


「ねぇ、それなに?」

「見たらわかるでしょー?」


『百合ちゃん、アホなの?』


とでも言わんばかりの顔をする桃は、折りたたみの椅子に腰をかけ、偉そうに足を組んでいる。


右腕にはぐるぐるとした白い包帯が目立っていて。


「……今度は全治何週間なの?」

「1ヶ月!」

「明るく言うことじゃないよ!」

「鬼マネ怖いよ〜」


わざとらしく泣き真似をされた。


こんな妹でも一応、デビューしておよそ1年。


今をときめくアイドルなわけで。


それなのに、決して低くはない頻度で捻挫やら痣やら……いつの間にか傷をこさえてくる。


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