②Sparkl
レッスンルームAにて
『明日のえーえむ10時!
レッスンルームAにしゅーごー!』
双子の妹である桃からの一方的なメッセージに、『りょーかい』と返して眠りについた昨夜。
今は忙しい時期のはず。
わざわざ集合をかけるなんてどうしたんだろう?
と、思ってはいたけども……
「ねぇ、それなに?」
「見たらわかるでしょー?」
『百合ちゃん、アホなの?』
とでも言わんばかりの顔をする桃は、折りたたみの椅子に腰をかけ、偉そうに足を組んでいる。
右腕にはぐるぐるとした白い包帯が目立っていて。
「……今度は全治何週間なの?」
「1ヶ月!」
「明るく言うことじゃないよ!」
「鬼マネ怖いよ〜」
わざとらしく泣き真似をされた。
こんな妹でも一応、デビューしておよそ1年。
今をときめくアイドルなわけで。
それなのに、決して低くはない頻度で捻挫やら痣やら……いつの間にか傷をこさえてくる。
< 1 / 30 >