②Sparkl



「桃から行くね!」


桃は軽やかに部屋を飛び出した。


数秒も経たないうちに、部屋のモニターに桃の姿が映る。


桔花がかけてくれたSparkの曲が流れ出し、桃は自然とリズムに乗っていく。


うん、やっぱり桃は可愛いのにかっこいい。


普段は可愛い。


顔はもちろんのこと、ころころと変わる表情だとか、感情の乗った声だとか。


色のついた綿菓子みたい。


だけど、曲がかかった瞬間、雰囲気はからっと変わって。


凛とした歌声に、キレのある動き。


いつもの甘さをかき消して、全身で"かっこいい"を演出している。


オンとオフのギャップ。


ガチ恋勢が多いのも、初見で惚れちゃう人が多いからなんだと思う。


腕を怪我しているのなんて、感じさせないほどの完成度だ。


「こっちが桃だろ」

「まぁまぁ!まだ一人しか見てないから、ね?」


自信たっぷりの昴をなだめる廉。


廉は意外にも中立の立場みたい。


この状況を楽しんでるだけなのかもしれないけれど!



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