②Sparkl







ど素人が歌えて踊れる。


Sparkのメンバー並みに。


そんなわけあるかって。


またいつもの、桃の面白くない冗談だって思った。


……なのに。


「嘘だろ……」


「やっばい、完コピじゃん!」


「どっちがどっちなの……?」


「当てられたら凄いよねぇ。私にも無理〜」


目の前のパフォーマンスは、まるで同じ映像をもう一度流されているかのよう。


1秒1秒この動きをすると決められているのかって、錯覚するほどだ。


それに。


「どっちだったとしても、体力お化けが2人いるってことじゃん!」

「確かに……」


隣で見ている廉が釘付けのままに叫んだ。


藍斗が静かに同意した。


桃は見た目に反し、底なしの体力を持っていて。


激しく動いた後の歌い出しも、声と音にブレはない。


女子でそれができるのは数少ないし、特に、桃ほど安定したやつを俺は見たことがない。


だから、廉の言葉はオーバーだが、気持ちはわかる。


驚きながらも目を離せない。


瞬きを、したくない。




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