②Sparkl
◇
ど素人が歌えて踊れる。
Sparkのメンバー並みに。
そんなわけあるかって。
またいつもの、桃の面白くない冗談だって思った。
……なのに。
「嘘だろ……」
「やっばい、完コピじゃん!」
「どっちがどっちなの……?」
「当てられたら凄いよねぇ。私にも無理〜」
目の前のパフォーマンスは、まるで同じ映像をもう一度流されているかのよう。
1秒1秒この動きをすると決められているのかって、錯覚するほどだ。
それに。
「どっちだったとしても、体力お化けが2人いるってことじゃん!」
「確かに……」
隣で見ている廉が釘付けのままに叫んだ。
藍斗が静かに同意した。
桃は見た目に反し、底なしの体力を持っていて。
激しく動いた後の歌い出しも、声と音にブレはない。
女子でそれができるのは数少ないし、特に、桃ほど安定したやつを俺は見たことがない。
だから、廉の言葉はオーバーだが、気持ちはわかる。
驚きながらも目を離せない。
瞬きを、したくない。