②Sparkl

雅のセンターくん




『どっちも。青春をかけて頑張ったんだよな。ありがとう』


サビの直前の、かろうじて拾った昴の言葉。


あの瞬間、昴はたぶん目の前にいるのが私だって気づいていなかったと思う。


でも、零した本音は"マネージャーの百合"に向けられたものだったから。


『頑張りを認めてくれてありがとう』


そんな気持ちでファンサを飛ばしたんだ。


アイドルに認めてもらえた瞬間を、私は一生忘れられない。


クールな昴からは想像もできない、温かい笑みだってそう。


これから先、どんな困難が立ちはだかったとしても。


あの微笑みを思い出したら、頑張れる気がする。


……はずだったんだけど。


「ちょっと話すくらいいいじゃん?なに威嚇(いかく)してきてんの?」

「お前にかまってる暇はないんだよ。さっさと道をあけろ」


突然発生した、男の子同士の睨み合いに頭を抱えている私です。



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