②Sparkl
空気がピリピリを通り越して、ビリビリしている。
学園長の部屋に向かっていただけなのに、なんでこんなことに……。
いや、偶然出会ったそこの人にかるーく声をかけられて、瞬時に昴が私の盾になった……って状況はわかるんだけども!
不穏な空気になるまでの展開が、早すぎるでしょうが!
「やっほ〜。桃ちゃんだよね?俺は雅の凌だよ」
盾になった昴の向こう側で、物怖じせずにこちらへ手を振る凌。
彼は雅のセンターだ。
和服を嫌味なく着こなし、品のある動きで周囲の視線をかき集める。
雅は全員和服を模した衣装で、和傘や扇子といった小道具を優雅に使いこなしたパフォーマンスを行う。
確かな実力もあるから、大手の芸能会社がこぞって契約を狙っているんだとか。
Sparkのマネージャーである私は、ちょっとだけ悔しかったりする。
実力では負けてないと思ってるから、ほんとにちょっとだけ。