②Sparkl
「仲良くしようね」
ひらりと、舞うように差し出された手はさりげなく。
しかし、視線が吸い寄せられた。
黙ってれば美男子、喋ればチャラ男。
噂どおりの人らしい。
穏便に済ませなきゃいけないし、ここは桃らしくフレンドリーに振る舞わないと。
「凌くん、よろしくね〜!」
普段の桃のファンサスマイルは、鏡の前で何千回も練習した。
細身のわりに大きい手を、両手で包むように握り返す。
うんうん、桃ならきっとこうする。
凌くんもファンサと同じ笑顔を返してくれてるし、この場はなんとか切り抜けられそう。
もういいかな、と手の力を緩めたとき。
「べたべたするな」
ぐっと両肩を掴まれ、べりっと引き剥がすように後ろへ引かれた。
背中が昴の身体にあたり、なんとなくドキリとする。
見上げると昴は明らかに不機嫌な様子。
またしても凌くんを睨みつけている。
うっ……せっかくいい感じに治まったと思ったのに、台無しだ!