②Sparkl
凌くんはわざとからかうように言葉を紡いでいる。
その証拠に、私の肩を掴む昴の手に力が入っていってる。ちょっと痛い。
「桃ちゃんね、普段とのギャップがすごいよね〜。ずっと仲良くなりたいって思ってたんだ」
「いい加減───」
「───ほんとに!?凌くんにそう言ってもらえて嬉しいな〜!」
あぶないあぶない。
爆発しそうな昴を振り切った私は、にこにこ顔で半分本音をさらけ出した。
桃が褒められてるのが嬉しい。
あの凌くんに認められてるのが嬉しい。
その気持ちは本物だ。
だから頬の緩みを抑えきれない。
「よし、連絡先を交換しようか」
「えっ」
「俺と繋がりがあると便利だと思うけどな〜」
急な誘いに驚く私。
携帯は持っていても当然、登録されている名前は百合になっている。
つまり、交換した瞬間に私が桃のふりをしていることがバレてしまうんだ。
それはどシンプルにまずい。
「いらない。お前が帰らないならこっちが消えてやる」
どう遠回しに断ろうか考えていたら、昴が切れ味鋭く返した。