②Sparkl



扇子を口元に当ててくすくすと笑う姿は、さながら上品なお貴族様。


油絵にして売ったら、相当な値段がつきそうなくらいに美しい。


漫画の一コマにしたら、セリフありだから一瞬で大炎上するけど。


「決断は待ってあげる。結果発表のときが楽しみだね」







凌くんの性格は最悪だけど、パフォーマンスは最高だった。


関節の使い方が上手で、しなやかに舞っている。


衣装の裾や紐、帯の端の動きまで考えているのかと思ってしまうくらいに洗練された舞い。


歌声も中性的で、音域が広かった。


昴に出るななんて言わなくても、十分にSparkと張り合える実力。


連絡先は交換しないけど、レッスンは一緒にしてみたいかも。


……って、ちがうちがう。


私はこのステージで終わりなんだった。


レッスンをやる日なんてものは、もう今後訪れないんだ。


ステージの裏、モニターで観客席の様子を見てみる。


「桃ちゃーん!」

「藍廉ー!!」

「きっちゃん〜!」

「昴、愛してるぅー!!」



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