②Sparkl



ファンたちのそれぞれの愛の叫び。


うちわには大きく蛍光色で『好き』とか『ファンサして!』という文字が浮かんでいる。


手作り、大変なんだろうな。


地方からここまで来た人はどのくらいいるんだろう。


ファンのみんなが向けてくれる熱を、それ以上の熱で返したい。


「百合、行くぞ」


いつもの数倍の凛々しさをまとう昴。


いつになく気合いの入った昴に、ドキリと心臓が跳ねた。


だけど、それも一瞬だけ。


ダメだ。ちゃんと集中しないと。


私は、今は桃なんだから。


「5分間を楽しめよ」


その言葉を合図に、みんなでステージへ飛び出した。


「花秀定期戦の大トリ、Sparkだ」

「とびっきり盛り上がっていこうね!」

「やっぱり、みんなにも手拍子とかやって欲しいよな〜!」

「新規ファンも大歓迎です……!」

「みんなでひとつになるの、楽しそうねぇ」


それぞれがアドリブで観客を煽っていく。


会場全体が興奮していくのがわかる。


撮影では感じられない、ライブでだけで生まれるエネルギーを全身で浴びてる。



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