②Sparkl



『ウインクちょーだい』の文字が見えて。


桃お得意のファンサをお届け。


喜ぶかと思ったら涙を流されちゃったのは、ちょっと心臓に悪いかも。


たぶん、泣くほど嬉しいってことなんだろうけど!


私のソロパートで、桃のファンは湧き上がる。


私と目が合うだけで、桃のファンは嬉し泣きをする。


一人で歌うのも踊るのも、とっても楽しい。


だけど、ファンのためにやる方が、断然楽しい。


あぁ、終わりたくないなぁ……なんて。


この時間が楽しすぎて、終わってしまうのが惜しいなぁって。


アイドルの気持ちがわかりすぎてしまった。


マネージャーに戻りたくない……なんて少しでも思った私は、マネージャー失格だ。


ちらりと、昴の方を盗み見ると。


昴はファンサで忙しいかなって思っていたけど、予想外に視線がかち合って。


「ちゃんと受け取れよ」


メロディだけが流れる間奏のとき、マイク越しにイケボを響かせた。


そうして、親指と人差し指それぞれの先を交差させ、それを向けられる。


あれは……一昔前からよく見かけるようになった……。


瞬間、後ろで悲鳴に似た歓声が沸き起こった。



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