②Sparkl



「なに今のー!」

「指ハートじゃん!!」

「ファンサが神すぎる〜!!!ありがとうございます!!!」


さっきのはなんなんだ。


ものすごくびっくりした。あれは心臓に悪い。


あんなに真っ直ぐ見つめられたままハートを向けられたら、変な勘違いをしてしまうでしょ……!


控え室に戻ったら、文句を言わなきゃ。


そうこう決意しているうちに、曲はついにラストスパートへ。


明るく爽やかに続いていた曲調が、一気に加速しロックな雰囲気になる。


同時に、観客の手拍子もだんだんと早くなっていき……


Sparkl(スパークル)


昴の最後のソロフレーズが会場に響いて、余韻だけがこだました。


ステージの照明が完全に暗転したとき、ようやく観客が大きな拍手を始めた。


会場が割れるんじゃないかと不安になるほどの音。


次第にその場に立ち始める人たちが現れて……これ、スタンディングオベーションってやつだ。


……なんだか、涙が出てきそう。


ううん、ダメダメ。


今から凌くん対策をやるんだから、しっかりしないと!



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