②Sparkl
「確かに、お前らは立ってるだけなら見分けもつかないだろうな。でも、俺たちはアイドルだ。最高レベルの歌とダンスを、ファンに届ける義務がある」
おバカな桃の、突拍子もない思いつきだって。
応援してくれているファンのためにも、中途半端なパフォーマンスをしていいわけがないって、怒ってるんだ。
『お前には無理だろ?』
冷たい目が私にそう言ってる。
普段からクールな昴。
だけど、マネージャーである私に敵意すら含む視線を向けてきたことは、今までにただの一度もない。
……私はここで、どう答えたらいいんだろう。
なにを言っても、火に油を注ぐだけな気がする。
反応に困り、ちらりと桃の方を見てみたら、ふっと息を漏らして笑みまで浮かべた。
……怖いもの知らずめ。
「今すぐにでも、百合ちゃんは桃になれるよ」
桃の甘くてよく通る声が、練習場に響き渡った。
「2週間?いらないよ。1日だっていらない」