②Sparkl



「確かに、お前らは立ってるだけなら見分けもつかないだろうな。でも、俺たちはアイドルだ。最高レベルの歌とダンスを、ファンに届ける義務がある」


おバカな桃の、突拍子もない思いつきだって。


応援してくれているファンのためにも、中途半端なパフォーマンスをしていいわけがないって、怒ってるんだ。


『お前には無理だろ?』


冷たい目が私にそう言ってる。


普段からクールな昴。


だけど、マネージャーである私に敵意すら含む視線を向けてきたことは、今までにただの一度もない。


……私はここで、どう答えたらいいんだろう。


なにを言っても、火に油を注ぐだけな気がする。


反応に困り、ちらりと桃の方を見てみたら、ふっと息を漏らして笑みまで浮かべた。


……怖いもの知らずめ。


「今すぐにでも、百合ちゃんは桃になれるよ」


桃の甘くてよく通る声が、練習場に響き渡った。


「2週間?いらないよ。1日だっていらない」



< 6 / 30 >

この作品をシェア

pagetop