②Sparkl
マネージャーとアイドルと
「うわぁ……違和感がすごい」
「違和感?桃と同じ顔だよ?可愛くないわけがないよね!」
普段メイクをしない私は、桃に魔法をかけられた。
まつ毛は茶色に染められて、まぶたにはキメ細やかなキラキラを。
頬にふんわり乗せられたチークは、これからの季節にぴったり。
それとお揃いの色をしたウィッグをかぶって、同じ衣装を着たら……
「ふふっ、桃の分身みたい!」
「ふふっ、百合ちゃんってば、相変わらず桃のモノマネが上手!」
どっちがどっちなのか、自分でもわからなくなりそう。
「リーダー命令、ちゃんと聞かなきゃだね」
「そうだね、百合ちゃんは全力でやらないとだね」
おでこをくっつけて、誓いのようなものを立てた。
私は桃になれる。
ずっと、長いこと一緒にいるんだ。
アイドルを目指す桃の応援をしたくて。
頑張る人の気持ちを知りたくて。
アイドルの辛さや苦しさを、身をもって知りたくて。
一流のマネージャーを目指すからこそ、一流を目指すアイドルと同じこともやってきたんだから。