お馬鹿な君の世話係。

「…あっそ……。」

真の手が離れる。


「なに、そっちが聞いたんじゃっ…。」

ムキになって、そう言おうと思った。


けど…。





「…………凛。」

真から、抱きしめられた。





突然だった。

なんで、抱きしめるの?

わけが分からなくて、呆然としていた。



「………ごめん。」

真が私の顔を見て、離れた。


「……なにっ…?…分かんないっ…。」


後ろに引き下がる。

「きゃっ…!」

フラついて、転けそうになった。


――グイッ


真から、腕を掴まれて支えられる。


「俺……、」

「………やだっ…。離してっ……。」

いつの間にか、涙で溢れていて。

手が震えていた。


< 377 / 459 >

この作品をシェア

pagetop